【ライフスキル】コントロールフォーカス
発達障害と情動調整
特にASDの場合、情動調整に対する困難があると言われている。
情動とは、急激に生じ、短時間で終わる比較的強い感情のことで、喜びや怒り、恐れ、興味、驚き、悲しみ、嫌悪などのことを言う。
この場合、情動調整とは、ネガティブな情動反応が一定の時間内で、適応的に調整されてい変化するプロセスのこと。
情動プロセス
下記の段階が含まれるとされている。
⑴注意の方向付け
状況や自分の内面など、どのような面に注意を向けるかを調節すること
例:コントロールフォーカス
⑵認知的変化
状況や自己の能力に対する考え方を変えることによって、おきた出来事に対する評価を変え、気持ちの変容を図ること
例:リフレーミング
⑶反応調整
情動反応が起きた後に、その気持ちを調節するなど、起きた反応自体への対処をすること
例:アンガーマネジメント
人の行動のメカニズム
行動には必ず、下記4つの要素が含まれている。
- 行為:外から見てわかる動作や表情
- 思考:頭の中で考えること、イメージすること
- 感情:快・不快、気分や気持ち
- 生理反応:身体反応・体内のコンディション
行動には直接コントロールできるものとできないものがあり、
コントロールできない感情と生理反応を変化させるためには、行為と思考をコントロールすることが必要。
感情や生理反応は、行為と思考の後に来るもので、そのあとの行動全体に再び影響を与える。
この考え方によって、例えば何か失敗したときに落ち込み続けるかどうかは、その感情に行動が支配されすぎないよう、自分がコントロールできる行為や思考に目を向け制御することで、コントロールすることができる。
コントロールフォーカス
コントロールできることに焦点を当て、コントロールできないことに焦点を当てないこと
コントロール可能なものの例 | コントロール不可能なものの例 |
|
|
例:仕事で午前中にたくさんのメールをチェックしなければならない
行為
※コントロール不可 (仕事の為) |
パソコンを起動し、 メールボックスを開く |
感情
※コントロール不可 |
めんどくさい 忙しい 疲れる など |
思考
※コントロール可 |
チェックし忘れないようにしよう 時間内に終わらせよう など |
生理反応
※コントロール不可 |
目が乾く 肩が凝る 頭痛 眠くなる |
「感情」をポジティブに変えるには?
↓
コントロールできる「思考」を変える!
例)
- メールをフォルダ分けし、今見ないといけない大事なメールか、後で確認できるメールか、ふるいにかける。(優先順位をつけてチェックするメールを減らす。)
- 迷惑メールは来ないように設定する。
行動選択の背景にある考え方
人と関わったり、行動の選択をする時、背景に下記2つの異なった考え方があり、それぞれ影響を受けている。
⑴外的コントロールの考え方
自分は相手をコントロールできると考えて、自分の期待通りに人をコントロールしようとする考え方
⑵選択理論
自分は自分だけしかコントロールできない、人は自分の行動しかコントロールすることはできないとする考え方
外的コントロールにある元々「期待すること」自体は外的なコントロールではなく、
「期待通りにならないことを許さない」のは外的コントロールになる。
「期待する」ことを細分化すると下記のように分けられる。
⑴そうなってくれたらいいのになあと、純粋に期待だけをする
⑵そうならなくてはいけないと自分の期待を押し付ける
⑴は相手の選択の余地を許しているが、⑵は相手の選択よりも自分の正しさを先行させている。
期待することと、相手が期待通りになることの間には、「相手の選択」が関わっている。
この「相手の選択」を重視することで、お互いをコントロールしたり、されたりする関わりが減り、無駄な争いを回避することができる。
また選択理論の場合、仮に意に沿わない結果になったとしても、それは相手の選択であり、自分がコントロールできるものではないという受け止め方をするので、
意見が異なるのであれば、お互いをそれをどのように調整し、状況を改善していくのが良いかという新たな方向性を検討していく。
自分自身の変化に必要な要素
⑴自身の行動そのものを変える。
自分がコントロールしやすい動作や表情など、実際に自分で変化を実践してみることで、現実に変化をもたらす。
⑵願望(目標)を変える
努力しても得られない目標や願望を持ち続けるのではなく、達成可能な具体的で現実的なもの、自分の意思でコントロールできるものに置き換える。
⑶見方・意味を変える
一つの視点に囚われない見方をしてみることで、自身で気づいていなかったものを見えるようにする。
考え方
- 苛立ったことや落ち込んだことなどネガティブな気持ちになった自分の経験を書き出す。
- 自分の状況の中で「行為」「思考」「感情」にあたるものを書き出す。
- その状況が起きたとき、自分はどんな期待をしていたか。
- その期待は下記のどちらか。 ①純粋に期待だけしている ②自分の期待を押し付けている
- 自分のケースで自分自身が「変えられないもの」は何か。
- 同じ状況で、自分自身の反応や行動について、何を変化させていけばいいか、「行動」「見方」「意味」から考えてみる。
自分のケース
考え方の番号 | 内容 |
1 | 自分に合っていると思って入社した企業が、入社してみたら合ってなかった。 |
2 |
行為:面接受けた企業に入社した。 思考:自分に裁量権を持てる仕事だと面接で聞いて、自分に合っていると思った。 感情:面接での説明内容と実際にギャップがあり悲しい・悔しい、長く勤めたいと思っていたのにがっかり |
3 | 自分のやることを自分で決められ、好きなように仕事ができるだろう。 |
4 | ②自分の期待を押し付けている(←退職した今考えれば) |
5 |
会社のルール、社風があること |
6 |
行動:業界・職種・社風について調べる、面接時によく確認する。 見方:「前職で同じ職種だった」と面接で話したので、雰囲気をわかっているだろうと思われたのかもしれない。前職の雰囲気で自分の中に先入観があったのかもしれない。 意味:こういう会社もあるのだと知れたので良い機会になった。 |
今日はここまで。